2011年04月02日

呪力がもたらした新世界

「新世界より」 貴志祐介 著 講談社文庫 読了。

1月に同じ著者の「悪の教典」を取り上げた。
その際、最近文庫化されたものがあるということを書いたが、それが今回取り上げる「新世界より」。
「悪の教典」が単行本2冊の大作だったが、この「新世界より」も文庫3冊(単行本時は2冊)の大作。
2月末から読み始めて、読み終わったのは大地震のあった日の翌日だった。

物語は、私こと渡辺早季の手記という形を取っている。
舞台は今から約一千年後の神栖66町、現在の茨城県神栖市のあたりと考えて問題ないだろう。
一千年後の世界だというのに科学文明は発達しておらず、むしろ大きく退化している。
クルマはないケータイはない、電力も水車で作ったわずかばかりのもののみ。
しかし人類は呪力(念動力)を使えるようになっている。

大作なのであらすじを書くのも大変な労力を要する。
そこで思い切って端折ってしまうことにする。
非常に乱暴な言い方になるが、SFの要素を多分に盛り込んだファンタジー、あるいは冒険小説として私は読んだ。
人によっては他の読み方をする人もいるだろう。
それでもエンターテインメントとして一級品であることは間違いない。

内容よりも本筋ではない瑣末なことを書く。
渡辺早季の父は町長で、母は図書館長をしている。
この作品世界では、町長より図書館長のほうが権力がある。
さらにえらいのが倫理委員会委員長。
また夫婦別姓。

動植物の名前は、ほとんどが架空のものと思われるが一部現実世界でも実在するものが混じっている。
読んでいるうちに、何が実在して何が架空のものなのか混乱してしまった。
混乱させるようなネーミングに著者のこだわり、面白がりを感じる。

題名をもじるわけではないが、独自の物語世界が展開されている。
この世界になじんだら、あとは一気に読み進めたいと思うことになるのではないか。
私は、仕事中も次の展開が気になって身が入らないことがあるほどだった(まあ普段から入っていないという噂もありますが)。
貴志祐介の構想力にはシャッポを脱がざるを得ないと思った作品だった。
posted by s-crew at 00:21| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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