2011年06月04日

二十一世紀のスパイ小説

「ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ」 オレン・スタインハウアー著 村上博基 訳 ハヤカワ文庫 読了。

まず情けない勘違いを白状するところから話を始めたい。
この小説の下巻のカバーに『ジョージ・クルーニー主演映画化決定!』とあった。
主演が誰かをまったく知らず、3月に公開された映画「ツーリスト」の原作がこの小説だと思い込んでいた。
ところが映画「ツーリスト」はフランス映画のリメイクという。
頭の中に巻き起こる?マークの嵐。
調べてやっと本当のところを知る。

で小説「ツーリスト」。
“ツーリスト”とは、情報機関の非合法工作員のこと。
CIAのツーリスト、ミロ・ウィーヴァーを主人公としたスパイ小説。

正直私はあまりスパイ小説を読むのが得意ではない。
まず人間関係がややこしい。
誰が味方で誰が敵か、読む進めていくうちに、いつしか敵と味方が逆になったりして頭がこんがらがってしまうことがよくある。
実際、この小説でも同じことが起こってしまった。
それでも何とか読み終えることができた。
読み続けられた要素を二つ挙げたい。

まず主人公の、妻と娘に対する愛情。
娘は実の娘ではないにも関わらずだ。

もう一点は血。
この場合の血は、血しぶきの血ではなく、血脈の意の血。
血は水よりも濃し。
主人公と娘の関係は棚上げする。

著者のオレン・スタインハウアーの著書を読むのは初めてだが、実はすでに2冊積ん読状態になっている。
5部作の1作目と2作目にあたる。
全5作が揃ったところで一気に読もうと思っていたが、3作目以降の紹介が進まず、シリーズを読み始められないでいる。
本が売れないので紹介が進まないのかもしれない。
映画があたって著者の本の翻訳が進むことを期待している。
posted by s-crew at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月01日

日米の球界を変えた英雄

「野茂英雄」 ロバート・ホワイティング著 松井みどり 訳 PHP新書 読了。

ストレートな題名だ。
日本から飛び出して、アメリカに渡った実質的には最初のメジャーリーガー“トルネード”野茂英雄。
彼のプロ野球選手としての歩みと功績を綴っている。

著者は、野球を中心とした日米の比較文化を書かせたら右に出るものはいないロバート・ホワイティング。
格好の題材を得て、その筆の走りは滑らかそのもの。
丹念に取材を積み重ねていることが伺える。

副題は「日米の野球をどう変えたか」。
日本のプロ野球とメジャーリーグの関係は、野茂以前と野茂以後とで大きく変わった。
もし野茂の出現がなければ、イチローも松坂もずっと日本でプレーし続けていたかもしれない。
ちなみに腰巻には、『イチローは天才。松坂は怪物。ヒーローは、野茂。』とある。

日本からアメリカへの流れを作っただけではない。
野茂はメジャーリーグの人気回復にも大きく貢献している。
その意味でもヒーローの呼び名はけして大げさなものではない。

ヒーローの名に値する事柄をもう一つ。
メジャー一打者にやさしい球場といわれるクアーズフィールドで、1996年9月17日ノーヒットノーランを達成した。
この球場でノーヒットノーランを達成した投手は、後にも先にも野茂一人だそうだ。

同じ海外への移籍の先駆者という意味で中田英をふと連想した。
だが決定的な違いがあることに気づく。
中田はまだできるのに引退してしまった。
一方野茂は、ボロボロになるまで投げ続けた。
それだけ野球が、投げることが好きだったんだなと思う。

野茂はなぜ記憶に残るのか、腑に落ちる一冊だった。
posted by s-crew at 00:57| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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