2011年07月15日

静かに着実に伝わる傑作

「音もなく少女は」 ボストン・テラン著 田口俊樹 訳 文春文庫 読了。

6月13日から読み始め、6月20日に読み終える。

傑作だ。
ミステリというのにはちょっと無理がある。
犯罪小説とも言いがたい。
それでもエンターテインメントとして読んで面白かったと文句なく言える。

ニューヨークの治安の悪い地区ブロンクス、この地区に暮らす耳の聞こえない少女イヴ・レオーネをヒロインの物語。
暴力を振るう父、虐げられても抵抗しない母。
そんな環境でも成長していくイヴ。

小道具と言っていいのか、イヴがカメラに興味を持つ場面が出てくる。
自己表現するのが難しい少女が、写真という言ってみれば武器を手に入れる。
うまいなあと思いながら読み進めた。

内容をほとんど忘れてしまったわけではない。
ただ思い出されるのは、面白いとか傑作とか陳腐に聞こえる言葉ばかり。
そこで私の言葉ではなく、腰巻にある推薦の言葉や解説者の言葉を引用したい。
まずは作家江國香織の推薦の言葉。
『読み始めてすぐに時間を忘れます。
 思うさまひきこまれ、読み終ると陰影の深い余韻が残ります。
 そして、感情が鍛えられます。』

続いて文芸評論家・北上次郎による解説から。
『本書は、男の力を借りずに私たちは生きていく、と宣言する女性たちの物語である。(略)
 いい小説だ。胸に残る小説だ。』

これらの文で、いかに傑作であるかがわかってもらえればと思う。
posted by s-crew at 23:52| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
小説本体には全然関係ないうんちくですが…


ブロンクス区でも危ない場所とされてるのは南西部の「サウスブロンクス」なんですよね。
数十年前の荒廃した状況からは結構回復しつつありますけど^−^;
今やあそこはヒップホップ誕生の地としての印象が強いんじゃないでしょうか。
Posted by ザンギュラ at 2011年07月17日 20:07
ザンギュラさん、コメントありがとうございます。
海外は強いですね。
私は海外はさっぱりなのでうらやましいと思ってしまいます。
なんせ飛行機に乗らないですむならそれに越したことは考えている人間ですので。
でも翻訳小説読むのは嫌いじゃないんですけどね。
Posted by s-crew at 2011年07月18日 04:36
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