2014年05月02日

渡辺流「勝つ」極意を公開

「勝負心」 渡辺明 著 文春新書 読了。

本の紹介をする前に一言。
今『読書は「アウトプット」が99%』という本を読んでいる。
この本を読むことで、めんどくさがらずにアウトプットをしようと思った。
そこでブログを再開し、アウトプットを実践したいと思う。
ただ今までの続きで紹介していきたいので、かなり前に読んだ本から始めることになる。
記憶も薄れ掛けている。
そこで簡単なものになることをお許しいただきたい。

で「勝負心」だ。

現在の将棋界には三人のタイトルホルダーがいる。
トップスリーの存在と言っていいだろう。
その中で最年少がこの本の著者、渡辺明30歳だ。
書いていて、渡辺明も30歳かと、感慨深いものがある。

帯に『天才・羽生善治が最も恐れる男が明かす「勝つ」極意』とある。
羽生が恐れる男であるのかもしれないが、この本を読む限りでは、羽生のことを尊敬していると思われる。
ちょっと意外な感じがした。

また勝負にゲンを担がないことを強調している。
勝負師は意外とゲンを担ぐ人が多いので、この点でもオヤッと思った。

渡辺明の本を読むのはこれで三冊目。
一番面白く読めた。
さらに、このところ将棋指しの書いた本が多く出ている。
一冊一冊読む進めて行こうと思う。
次の予定は、名人・竜王のあの人だ。
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2014年03月27日

「ユリゴコロ」

「ユリゴコロ」 沼田まほかる 著 双葉文庫 読了。

何年か前に“イヤミス”という言葉がミステリの世界で流行った覚えがある。
嫌な気持ちになってしまうミステリ作品をさしている言葉だ。
具体的な作品をあげると、湊かなえの「告白」がすぐに思い浮かぶ。
あの作品を読んでる間、あるいは読んだあと、救われない思いがして嫌な気持ちになった記憶がある。
さらにこの沼田まほかるだ。
「ユリゴコロ」、読んでる最中は嫌な気分だった。

「ユリゴコロ」とはユリコが書いた4冊のノート。
そこには殺人に取り憑かれた人物の手記が書かれていた。
この手記が、本当に嫌な気持ちにさせる。
この種気を読んだ主人公の行動を追って物語りは進む。

ラストは衝撃だった。
やられた、と思った。
そうか、そうだったのか。
嫌な気持ちが残ったまま、ある種爽快感がやってきた。

沼田まほかるがどういった人物か調べたら、60歳を超える女性だった。
著者近影を見て驚いた。
この著者からあんな作品がでてくるなんと思った。
イヤミスはあまり読む気がしないが、怖いもの見たさのような感覚で、また読んでしまうかもしれないなとも思った。
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2014年03月22日

「ぼくは本屋のおやじさん」

「ぼくは本屋のおやじさん」 早川義夫 著 ちくま文庫 読了。

この本の単行本時代の存在は、かなり前から知っていた。
単行本は1982年に、シリーズ〈就職しないで生きるには〉@として刊行された。
このシリーズには他に「包丁一本がんばったンねん」というものも出ていて、その後新潮文庫に入り、その新潮文庫版を読んでいる。
かといって私は別に就職しないで生きようと思っていたわけではない。
ただ、就職してサラリーマンとして働く自分像はあまり描けていなかった。

で「ぼくは本屋のおやじさん」である。
昨年12月に文庫化され、ずっと気になっていた本なので購入した。
歌手だった早川義夫の書店主時代のエッセイだ。
さらに単行本が出た後のてんやわんやも文庫本では収録されている。

書店があったのは南武線武蔵新城駅前。
私は学生時代ふた駅となりに住んでいたので、今思うとなぜその店に行かなかったのか不思議だ。
もう閉店してしまったので、今から行くことは出来ない。

基本的に街の本屋の苦労話。
本屋は一見楽そうに見える。
だから著者も始めようと思った。
いざ開店してみると、いろんなトラブルが待っていた。
まず、注文した本が入荷しない。
これは今でも中小書店の悩みの種。
いや今のほうが苦しんでいる。
従来中小書店の飯のタネだった雑誌・コミックがコンビニにかなり奪われている。

できたら本屋の店主になれたらなんて思ってたときもあった。
この本、さらに昨年刊行された文庫本「傷だらけの店長」を読むと、ならなくて良かったと思う。
働くことは大変だ。
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2014年02月28日

「華氏451度」

「華氏451度」 レイ・ブラッドベリ著 宇野利泰 訳 ハヤカワ文庫 読了。

華氏451度、それは紙が自動発火する温度。
小説の舞台は近未来、本の所有を禁じられた世界。
所有していることが露見すると、焚書官がやって来て本を燃やしてしまう。

主人公は焚書官モンターグ。
ある日ふとしたことから本を手にする。
そして隠して所有するようになる。
この先は…

普段SFをあまり読まない私だが、以前取り上げた「ノックス・マシン」収録の作品を読んでこの小説を読んでみようと思った。
面白い小説は、他の本を手に取らせる効能がある。
この「華氏451度」を読んで、他のSFにも手を伸ばそうかなと思った。

内容とはあまり関係ないところで、二つ書いておきたいことがある。
まず、この小説は漢字に出来るところでも、特に会話の部分で、ひらがなになっているところが多い。
ここに強い意図を感じる。
少々強引に過ぎるかもしれないが、本のない世界では、思考が浅くなってしまうことを暗示しているのではないかと思った。

二点目、出版不況の視点から解説がされていた。
これはどうなのだろうか。
SFの文脈での解説を読みたかった。

ちなみに本が自然発火することは、この小説内では出てこない。
にもかかわらず「華氏451度」というタイトルになぜしたか。
その点を考えながら読むと、さらに深いところまで読み込むことが出来るのではないだろうか。
心に残る一冊だった。
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2014年02月20日

『世界と闘う「読書術」 思想を鍛える1000冊』

『世界と闘う「読書術」 思想を鍛える1000冊』 佐高信 佐藤優 著 集英社新書 読了。

「読書術」とあるが、これは「読書録」ではないか。
佐高信と佐藤優がテーマに沿って、読んだ本をあげて議論を深めていく。
テーマ毎に章になっている。
章立ては以下のとおり。
 第一章 宗教・民族と国家
 第二章 家族と国家
 第三章 戦争・組織
 第四章 日本とアメリカ
 第五章 沖縄・差別の構造
 第六章 日本・日本人
 第七章 文学・評伝・文芸批評
 第八章 社畜とブラック企業
 第九章 未来を読む

まず二人の読書量に圧倒される。
圧倒されるので内容についてはこれ以上触れない。
巻末に『佐高信が選ぶ、ジャンル別・必読「新書」リスト』がある。
この中で私が読んだものを書名だけあげてみたい。

「憲法九条を世界遺産に」
「哲学入門―生き方の確実な基礎」
「オバマ・ショック」
「共生の大地 新しい経済がはじまる」
「『噂の眞相』25年戦記」
「タテ社会の人間関係―単一社会の理論」
「住宅貧乏物語」
「論文の書き方」
「満鉄」
「白球太平洋を渡る―日米野球交流史」
「時刻表の旅」
「エビと日本人」
「日本語の素顔」
「日本の近代小説」
「文学入門」
「活字たんけん隊―めざせ、面白本の大海」
「活字のサーカス―面白本大追跡」
「生きることと考えること」
「本はどう読むか」
「考える技術・書く技術」
「知的生活の方法」
「発想法―創造性開発のために」
「続・発想法―KJ法の展開と応用」
「日本語練習帳」
「日本語の起源 新版」
「日本人の英語」

洩れているのもあるし、逆に買っただけで読んだ気になっているものもあるかもしれない。
私が思うほど読み込んではいなかった。
まあリストを参考にして、もう少し読了リストを増やしたいと思う。
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2014年02月15日

「真夏の方程式」

「真夏の方程式」 東野圭吾 著 文春文庫 読了。

こりゃまた季節外れの本を読んだもんだ。
自分なりの理由があるのだが、つまらないこだわりだと思う。
やっぱり夏に読むべきだったか。
いや、夏に読んでも…

東野圭吾でもっとも売れるシリーズと言ってもいいガリレオシリーズ。
さらに映画の原作本でもある。
帯を見るとミリオンセラーになっているとのこと。
しかしなあ…

映画の原作本というよりは二時間ドラマのノベライズものに近いという印象を持った。
舞台が夏のリゾート地というのも、そういう印象を持たせた要因だ。

ここで本の裏を見ると、帯にガリレオシリーズの装丁5点が載っている。
その中で、この「真夏の方程式」だけテーストが違うように思った。
思い至ったのは、この作品はシリーズ番外編と位置づけるのが正しいのではないかということ。
それであれば多少は理解できるか。
それにしてもなあ。

この作品が新人のデビュー作としたらどのくらい売れるのか。
うーん、考えないほうがいいのかも。
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2014年02月13日

「村上ラジオ2 おおきなかぶ、むずかしいアボカド」

「村上ラジオ2 おおきなかぶ、むずかしいアボカド」 村上春樹 文 大橋歩 画 新潮文庫 読了。

村上春樹が雑誌ananに連載していたエッセイをまとめたもの。
1つのエッセイが3ページと絵で1ページ、4ページで一つの話が終わる。
2とあるからには1もあるわけで、それも新潮文庫から出ている。
読んだかどうだか定かではなかったので、立ち読みで目次を見たら、なんとなく読んだ覚えがあるようなタイトルだったので、多分読んでいるのだろう。
また、画が安西水丸なら村上朝日堂になるな、なんてことも思った。

手にとって違和感を感じた。
最初はよくわからなかったが、文庫版後書きのところを開いて、違和感の原因に気づいた。
紙が厚いんだ。
新潮文庫は他の文庫に比べ薄い紙を使っていると感じていたが、この本は逆に厚い。
ページ数が少ないので(225ページほど)、中身ではなく物質的に薄っぺらさを出さないように紙の厚さに手をつけたのだろうと推測する。

エッセイの中身は、どちらかといえば脱力系。

「アボカドはむずかしい」というエッセイがある。
この中に「たとえば学芸大学から新木場まで、地下鉄をどのように乗り継いで行けばいちばん速く着けるか、というのも難度の高い問題のひとつだ。」とある。
私は考えた。
学芸大学から中目黒まで東横線。
そこから日比谷線で日比谷へ出る。
そこで徒歩で有楽町線有楽町駅に出て有楽町線に乗り換える。
新木場到着、これが速くて安い。
日比谷駅から有楽町駅まで徒歩を挟むのがポイント。
東京メトロでは乗換駅になっているので安上がり。
そんなに難しくないですよと、村上春樹さんに教えたくなった。

「村上ラジオ3」というのも単行本で出ているらしい。
文庫になったら読もうかな。
気楽な気持ちで本を開きたい。
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2014年02月07日

「笑う警官」

刑事マルティン・ベック 笑う警官」 マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー著 柳沢由実子 訳 角川文庫 読了。

刑事マルティン・ベックシリーズは警察小説の金字塔と言われていた。
その新訳シリーズが昨年から始まった。
これは読まねばなるまい。
早速手に取った。

もともとこの小説はスウェーデン語で書かれていた。
日本への紹介は、スウェーデン語から英語に翻訳されたものをまた日本語に翻訳するという形で進められた。
今回の新訳はスウェーデン語から直接日本語に翻訳されている。

最初に翻訳されたこの「笑う警官」は、シリーズ第一作ではない。
シリーズで一番評価が高かった第四作だ。
出版社の戦略もあるのだろうが、出来れば発表順に刊行してほしかった。
私はそんなところにこだわってしまう人間なのだ。

舞台はスウェーデンの首都、ストックホルム。
二階建てのバスの中で9人が殺されるという事件が起こった。
そのうちの一人は刑事だった。
手がかりがほとんどない中、捜査を進めるマルティン・ベックを中心とする殺人捜査課の面々。

読んでいて思ったのは、これはヘニング・マンケルの刑事ヴァランダーシリーズと感じが似ているということ。
話が逆というべきなのかもしれない。
刑事ヴァランダーシリーズがマルティン・ベックシリーズに似ているというべきなのだろう。
だからと言って、刑事ヴァランダーシリーズを不当に貶めるつもりは毛頭ない。
どちらも面白い。
また翻訳者も同じなので、いっそう雰囲気が似ていると感じるのかも知れない。

時代背景も知っておくにこしたことはない。
ヴェトナム戦争反対のデモが日常的に起こる時代。
またスウェーデンに続々と移民が来る時代でもある。

じわじわと来る面白さがある。
このシリーズは1年に一作ずつ翻訳されていく予定とのこと。
読みたい、と思う。
あと九作。
待ち遠しい。
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2014年02月04日

「知的創造の作法」

「知的創造の作法」 阿刀田高 著 新潮新書 読了。

阿刀田高という作家をご存知だろうか。
短篇小説の名手であり、また「イソップを知っていますか」といった古典のダイジェストエッセイでも知られる。
と書いた私だが、実は一作も読んだことがない。
気になる名前ではあったのだが。

それが今回、阿刀田高の書いた新書を読んでみる気になった。
それは題名の中にある「知的創造」という言葉に引かれたからだ。

全部で五章からなる。
 第一章 ダイジェストする力
 第二章 アイデアの井戸を掘る
 第三章 閃く脳味噌の育て方
 第四章 知的創造の海へ
 第五章 私の読書、私の執筆作法

読んでみての感想は、作法という言葉がポイントなのかな、というもの。
よくこの手の類の本では「…の技術」あるいは「…の方法」といった題名になることが一般的だ。
それが何で作法なのかな、と読んでる最中に思った。
なんとなく知的作業と知的方法が混ざっての作法なのかなと思い、また心構え的なことを言っているから作法なのかなとも思った。
鵜呑みにするのではなく、それこそ自分なりに咀嚼ダイジェストする必要があるのかもしれない。

今回は阿刀田高の別の本を読もうという気にまでは至らなかった。
また別の知的創造の本を探そうかなと思った。
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2014年01月31日

「ノックス・マシン」

「ノックス・マシン」 法月綸太郎 著 KADOKAWA 読了。

4篇からなる中短篇集。
ミステリというより、SFとミステリが混在したエンタテインメント と言ったほうがいいか。
個別に見てみる。

まず表題作の 『ノックス・マシン』。
これはSFを取り入れたミステリ。
ミステリの世界に「ノックスの十戒」という言葉がある。
イギリスの作家ロナルド・ノックスが1929年に発表した 探偵小説のルール集だ。
この中の五つ目にこうある。
 『探偵小説には、中国人を登場させてはならない』
他のルールは納得できるが、これだけは首をかしげる戒律だ。
その戒律がなぜ生まれたか、はは楽しいね。

以下は駆け足で。
二篇目は『引き立て役倶楽部の陰謀』、ミステリでしょう。
名探偵のそばにいてアシスタント的な役割や記録係りをする名探偵ホームズでいえばワトスンのポジション。
このポジションの人間が集まり、たくらむ。
これまた楽しい。
私は西村京太郎の『名探偵』シリーズをふと思い出した。

三篇目は『バベルの牢獄』、これはSFですね。
内容とは関係なく、どういう編集作業がどのように進められたかが気になった。

最後に四篇目『論理蒸発―ノックス・マシン2』、表題作『ノックス・マシン』のその後の世界。
これは、楽しいというより、引き込まれた。
いくつかのミステリやSFの名作が読みたくなる。
特に私は、レイ・ブラッドベリの「華氏451度」が気になって仕方がなくなった。
勢いで文庫を買ってしまった。

面白い小説は、その中に出てくる小説を読ませる力があると思った。
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2014年01月25日

「ファビュラス・バーカー・ボーイズの地獄のアメリカ観光」

「ファビュラス・バーカー・ボーイズの地獄のアメリカ観光」 町山智浩 柳下毅一郎 著 ちくま文庫 読了。

『ファビュラス・バーカー・ボイズ』こと町山智浩と柳下毅一郎のデビュー作。
このたび文庫になった。
文庫化なら文春文庫の「ベスト・オブ映画欠席裁判」のほうが先だった。
この本も私は読んでいる。
とはいうものの、私は映画に詳しくはない。
それでもこの二人の掛け合いが面白く、ページをめくるのが楽しみだった。

『ファビュラス・バーカー・ボーイズ』は「ファビュラス・ベーカー・ボーイズ」のもじり。
当初は馬鹿のことかと思っていたのだが、バーカーには呼び込みの意味があると知る。
呼び込みらしく口八丁ということなのかもしれない。

四つの章に分かれている。
Chapter1 ロサンジェルス篇1
Chapter2 イースト・コースト篇
Chapter3 ラスヴェガス篇
Chapter4 ロサンジェルス篇2

いきなり初っ端から『ラス・メイヤーの巨乳屋敷・訪問!』とある。
この部分は電車の中で読んだのだが、巨乳女優の写真が出てきて、周りの視線が気になった。
また最近老眼が進んでいて、本と目を離して読んでいたのでなおさら気になった。

読んでいる最中から、二人の知識量には驚かされた。
映画評論家という職業はこういった人たちばかりなのだろうか。
褒め言葉として、映画オタクなんだろうなと思った。
この二人の著作をさらに読みたいと思った。
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2014年01月22日

「ロードサイド・クロス」

「ロードサイド・クロス」 ジェフリー・ディーヴァー著 池田真紀子 訳 文春文庫 読了。

キネシクスの専門家キャサリン・ダンスが主人公のシリーズ第二作。
キネシクスとは、しぐさや話し方で相手の心理を分析すること。
翻訳者はあとがきでダンスのことを“歩く嘘発見器”と呼んでいる。
敵に回したくない類の人種である。

「ロードサイド・クロス」とは、路傍に立てられた十字架のこと。
事件が発生する度に立てられる。
十字架が意味するものは?

また、これはディーヴァーの著作に何度か提示されていたことだが、この作品中でもネットを中心とした情報化社会への警鐘が見られる。
特に今回はブログが重要な役割を担っている。
やぱりブログは匿名のほうがいいなという気になっている。

ディーヴァーといえば、どんでん返しのイメージがある。
本作でもどんでん返しがあり、犯人意外にも…
後は読んでのお楽しみ。

さらにサイドストーリーとして、ダンスの母親が逮捕されるという事件が起こる。
このあたりダンスの対応の仕方に、ちょっと違和感を感じた。
アメリカ人ならこういう対応をするのだろうか。

ちょっとエンディングに切れを感じなかったが、まあ読んで安心の手堅い一冊と言えようか。
多分シリーズ第三弾も読むんだろうな。
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2014年01月21日

「成長から成熟へ」

「成長から成熟へ」 天野祐吉 著 集英社新書 読了。

サブタイトルは『さよなら経済大国』とある。
コラムニストにして、休刊した雑誌『広告批評』の創刊編集長・天野祐吉による“日記のようなもの”とのことだが、しっかりと鋭い評論になっている。

構成は以下のとおり。
 プロローグ 世界は歪んでいる
 第一章 計画的廃品化のうらおもて
 第二章 差異化のいきつく果てに
 第三章 生活大国ってどこですか
 エピローグ 新しい時代への旅

プロローグから考えさせられる。
リニア中央新幹線に真っ向から反対している。
その考えに同調できるところが多く、鉄分の濃い私も要らないなという気になる。

また第三章で、政府の広報活動について触れている。
広報活動には「行政広報」と「政策広報」の二種類あるという。
そして「政策広報」をやっている国は日本くらいだとも。
この本を読むと、税金を使って「政策広報」を出すのは問題があると理解する。

この本のいいたいことを簡潔に要約するなら、日本は経済で一位だの二位だの争うのではなく「別品」の国を目指すべきだということ。
「別品」、いい響きだ。
じっくりとかみ締めて読みたい一冊だった。
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2014年01月08日

「小暮写眞館」

「小暮写眞館」 宮部みゆき 著 講談社文庫 読了。

ミステリだと思って読み始めた。
ところがそうではなかった。
上巻の腰巻には『最高の青春小説』とある。
下巻の腰巻には『最高の恋愛小説』とある。
そう、青春小説であり恋愛小説だ。
さらに私は『家族小説』でもあると付け加えたい。
欲張りな小説だ。

主人公は高校生の花菱英一、通称花ちゃん。
有人だけでなく、両親や弟からもそう呼ばれている。
このことからもちょっと変わった家族ということがうかがい知れる。
変わったゆえか、両親は小暮写眞館という以前カメラ屋だった家を購入する。
サラリーマン家庭なのでカメラ屋としての営業はしないのに。
そんな小暮写眞館から始まる小説。

面白かったので上下1000ページに迫るボリュームも、減っていくのが残念に思った。
後半では高校の鉄道研究会が出てくる。
会員にヒロシ君という高校生がいて、他人の気がしなかった。
さらに鉄道周辺が割と重要な舞台になったりしている。
鉄道小説といっては無理があるか。

それでも最後まで読み終わったところで千葉県のあるローカル線に乗りたくなった。
菜の花の時期がいいのかな。
計画しよう、飯給(いたぶ)駅行きを。
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2013年08月24日

由紀夫には4人の父親が

「オー!ファーザー」 伊坂幸太郎 著 新潮文庫 読了。

主人公の高校生・由紀夫には4人の父親がいる?
奇想天外な設定で、いきなり読むものの関心を惹きつける伊坂幸太郎の長編小説。
とはいうものの、著者の後書きで書かれているように、父親が4人いるという設定は実は以前にもあった。
A・J・クィネルの「イローナの四人の父親」がそれ。
この小説は読んだ覚えがある、多分20年以上前に。
そんな昔だから、ストーリーは忘れてしまったが、面白く読んだ覚えがあり、読後感もかなり良かった気がする。
特徴を持った父親たちが協力して敵に立ち向かうというところはどうしても似てくる。
では、この小説の父親たちの特徴は?
父その1悟は大学教授。深い見識を持つ。
父その2鷹はチンピラ風のギャンブラー。
父その3勲は中学教師。格闘技が得意。
父その4葵は元ホスト。女好き。
収束に向かい、この4人が特徴を出し合って主人公を救出する。
たは、なるほどね。

これも著者後書きからの引用だが、この作品は伊坂ワールド第一期を締めくくるものだそうだ。
そして第二期の「ゴールデンスランバー」へと続く。
伊坂小説にちょっとでも関心があるのなら、読んでおきたい一冊といえるのではないか。
私は満足しました。
タグ:伊坂幸太郎
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2013年08月22日

ヴァランダーは出てこず

「タンゴステップ」 ヘニング・マンケル著 柳沢由実子 訳 創元推理文庫 読了。

刑事クルト・ヴァランダーシリーズで知られるスウェーデンの作家ヘニング・マンケルのノンシリーズ作品。
シリーズ作品は、現在翻訳がすんでいるものはすべて読んだので、今度はノンシリーズ作品に手を伸ばしたわけだ。
メモを見ると7月16日に読み終わっている。
やはり細かいところは忘れてしまっている。

覚えているのは、この小説にナチの影があるところ。
それだからというべきか、それなのにというべきか、訳者あとがきによるとこの小説はドイツでもベストセラーランキング1位の座に着いたという。
やはりそれだからなんだろうな。

主人公は37歳の警察官ステファン・リンドマン。
彼は舌がんの宣告を受ける。
治療を受けるまでの休職期間のうちに、新米だった頃指導を受けた先輩が殺された謎を追うことに。
だが、殺人事件はこれだけで終わらなかった。
独自に捜査を進めるステファンの苦悩が伝わってくる。

ヴァランダーシリーズでも主人公の苦悩振りが読みどころの一つと思ってるが、この小説でも主人公の苦悩振り、さらにがんに対する恐れがひしひしと伝わってきて大きな読みどころとなっている。
ただ、ストーリーはどうなんだろう、なんか私自身入りきれていなかったように思う。

やっぱりヴァランダーシリーズが読みたいなと思う。
ただ、訳者によると、これからはノンシリーズものを2作翻訳をするとのこと。
ヴァランダーものなら、出たらすぐ買って読むだろうが、ノンシリーズものならば、評価が出るのを待って読むかどうするか決めることになると思う。
ともかく翻訳を待ちたい。
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2013年08月21日

ダメな自分から抜け出せ

「脳から自分を変える12の秘訣 『やる気』と『自信』を取り戻す」 築山節 著 新潮文庫 読了。

今から6年ほど前に同じ著者の「脳が冴える15の習慣」という本を読んだ。
ベストセラーにもなったので、本の題名をご記憶の方もいるだろう。
脳トレもいいけど、いい習慣作りのほうが大事だよ、という内容だった。
参考にさせてもらった。

文庫の新刊で出たので、迷わず買って読み始めた。
12の症状とそれに対する処方箋を紹介、といったところだろうか。
12の症状を書き出してみる。
1 やる気がおこらない
2 集中力がない
3 早起きを定着させられない
4 抑制の力が落ちている
5 「空気が読めない」と言われる
6 自分の考えがまとめられない
7 思い出せない言葉が増えている
8 アイデアが浮かばない
9 時間を無駄遣いしてしまう
10 同じ失敗を繰り返す
11 ネガティブ思考に陥りやすい
12 変化への対応力がない
今の自分を振り返ると、4を強く感じる。
この本によると、意志が弱くなっていると言い換えられるようだ。

そこで対処法である。
二つのトレーニングを紹介している。
私がやってみようかなと思ったのは「少し辛いと感じる長さの文章を音読する。」だ。
たとえば、朝に新聞のコラム欄を読めばいいのではないかと思った。
が、思っただけで実際にやっていないのが、私の性格の弱いところ。
この本を読み終えたのが、7月14日の長崎でだった。
あれからひと月以上たっているのにやっていない。
このブログを書くことで、リセットしようと思う。

明日の朝、読むだろうか。
自信がない。
あ、11の処方箋も読み直したほうがいいのかも。
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2013年08月20日

ユーリ・オズノフの物語

「機龍警察 暗黒市場」 月村了衛 著 早川書房 読了。

シリーズが進むほど面白くなる「機龍警察」のシリーズも、これで3作目。
2作目はアイルランド人、ライザ・ラードナーの物語だったが、この3作目は元モスクワ警察の刑事ユーリ・オズノフの物語。
私のメモによると7月7日に読み終えている。
正直、記憶も朧だ。

ただ、とても面白く、ページをめくるのももどかしいほどだったことは覚えている。
特に、『第二章 最も痩せた犬達』では、ユーリが機龍警察に入るくだりが描かれている。
そして『第三章 悪徳の市』へ。
アクションシーンも盛り上がる。

400ページを越えるハードカバーだが、長さをいい意味で感じなかった。

こうなると次の第4弾の発売が待たれる。
だいたい毎年一作ずつ刊行されているようなので、今年中に刊行されるといいのだが、と思う。
期待して待ちたい。
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2013年08月14日

20年後の消費を予測して

「日本人はこれから何を買うのか? 「超おひとりさま社会」の消費と行動」 三浦展 著 光文社新書 読了。

三菱総合研究所による、三万人規模の「生活者市場予測システム」を基データに、下流社会でおなじみの三浦展が消費行動を分析・予測をしたものである。
キーワードはサブタイトルにもあるように「超おひとりさま社会」。
2035年には「一人暮らし世帯」が1846万世帯となるという。
「夫婦と子ども世帯」が1153万世帯と減るというのに。
さらに「一人暮らし世帯」といっても、特に高齢者のおひとりさまが急造する。
そういう社会で求められる行動を提言している。

私も高齢者の「おひとりさま」予備軍と化しているので、興味深く読んだ。
特に「第3章 おひとりさまは何がほしいのか」が一番関心を持った部分。
「新しい公共交通が必要」「生涯学習は知的ケア」には、なるほどと唸る。

で、ここからは少しモヤっとしたことを書く。
やけにすらすら読めるなと最初は不思議に思った。
よく見ると字が大きい。
1ページあたり14行と、他の新書に比べ3,4行少ない。
これなら確かにすぐ読み終わるわ。
本筋と関係ないところでいちゃもんをつけてしまった。
それというのも、読み終わったのが7月6日と、すでにひと月以上たっていて、かなりのところを忘れてしまっていることが大きい。
悪い本ではないです、ホント。
posted by s-crew at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月12日

海峡を越えてキックオフ

「増補版 祖国と母国とフットボール ザイニチ・サッカー・アイデンティティ」 慎武宏 著 朝日文庫 読了。

著者は「週刊サッカーダイジェスト」で連載記事も持っている、韓国情報が強いライター。
いわゆる在日である。
実は私は一度お会いしたことがある。
まあ多分先方は覚えていないだろう。
ともかく、その著者が在日サッカー選手を広く取材し、ものしたのがこの本だ。
なかなかの力作だ。

私はこの本を6月30日に読み終えている。
さすがにもう読み終えたばかりの熱気というものも冷めてしまった。
それでも熱さを確かに感じた。

表紙の写真は、日本代表の李忠成と北朝鮮代表の安英学がマッチアップしているもの。
まさに題名を象徴している一枚だ。
祖国とは?
母国とは?
そしてフットボールとどう関わるのか?

しつこいようだが、サッカー好きなら読んでおいて損はない力作だと思う。
posted by s-crew at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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